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この1週間はとても早く、あっという間に初戦を迎えた。


ミーンミーンとセミが鳴く暑いグラウンドと雲ひとつない真っ青な大空。


初回のマウンドにはエースナンバーを背負った千隼くんが登る。


「千隼くん…、頑張ってね」


「おう。任せろ」


千隼くんはいつもどおりの表情で颯爽とマウンドに駆けていく。


その後ろ姿からは、緊張という言葉を知らなそうな緩さを感じる。


「プレイボール!!」


審判の声とともに、私達の夏が始まった。


この瞬間が好きだ。


緊張と期待が入り混じり、心が高ぶるこの瞬間が。


緊張の糸が張り詰めていた球場のボルテージが急上昇するこの瞬間が。


皆の期待を一身に背負った千隼くん。


彼が投げた第一球は完璧な球だった。


打者が見動きできない完璧な球。


応援に駆けつけてくれている北野高校の関係者がいるスタンドから大きな拍手と歓声が上がる。