初戦のスタメンが発表された。


千隼くんは、少し驚き戸惑っている様子だったけど、しっかりした手つきで背番号1を受け取った。


1枚のペラペラの背番号。


千隼くんはそれをジッと見つめている。


表情はいつもと変わらない。


今…何を思っているんだろう。


千隼くんのことだから、勝ち気なことでも考えているんだろうか。


背番号2を手にした翔吾と2、3言会話し、グータッチを交わすのが見えた。


その口元は微かに上がっていて、強気な千隼くんがそこにはいた。


千隼くんならきっと甲子園に導いてくれる。


自分勝手にそう信じていた。


千隼くんの心の痛みに気づこうともしないで…。