エラーがたくさんあって負けたとチームメートは思ってるけど、本当はそうじゃない。


フォアボールも多かったし、エラーで出塁したランナーをホームに帰してしまったのは俺の失投のせいだ。


母親の言う通り、こんな俺に甲子園が目指せるんだろうか。


「今週末の初戦のスタメンを発表する」


ミーティングが始まった。


監督の一言で場の空気が一気に引き締まり、俺の思考も一時中断する。


「背番号1、千隼」


…俺…?


藤川さんじゃなくて?


「何驚いてんだよ。エースはお前しかいねーだろ?」


藤川さんの言葉を皮切りに、祝福の拍手がわいた。


「…あざす。頑張ります」


“1”と印された背番号を受け取る。


それは、一人では持てないほどズッシリと重たかった。