その日から俺の人生は贖罪の人生だった。


好きでもない野球に明け暮れ、母親と兄貴のために時間を費やす毎日。


楽しくない、つらい、辞めたい。


ずーーっとそう思っていた。


罪悪感だけが俺を突き動かしていたんだ。


そんな俺を変えてくれたのが千紘だった。


千紘と一緒に甲子園に行きたい。


千紘のために頑張ろう。 


そう思ったんだ。


兄貴だけの夢だった甲子園が、いつしか俺の夢になっていて。


絶対に負けられない戦いに心が震える。


兄貴と母親の夢、千紘の願い。


そして、チームの皆の夢。


日曜日からの試合で、夢が叶うも散るも決まる。


“アンタなんかに甲子園なんて無理よ”


母親に言われた言葉が蘇る。


…やっぱり、俺には無理なんだろうか。