どうしてそんなことばかり聞くの…っ?


新手の嫌がらせ…?
 

もう忘れたいよ…。


事故のことなんて綺麗サッパリ忘れたいのに…っ。


「おー、やっと来た。遅かったな」


「ごめん、おまたせ!」


グラウンドに戻り、無理やり元のテンションを作る。


選手がこんなに頑張っているのに、マネが暗い顔をするわけにはいかない。 


「じゃ、頼む」


防球ネットの裏でスマホを構える。


千隼くんのフォームにはもう慣れた。


朝陽くんを思い出すこともなくなってきていた。


だけど…。


さっきあんなことを聞かれたせいで朝陽くんがチラついて離れない。


「ナイスボールっす!」


「どう?落ちてる?」


「まぁまぁっすね」


「なんだそれ。翔吾みたいなこと言うなお前」


あそこにいるのは間違いなく千隼くんだ。


朝陽くんはあんな言葉遣いじゃない。


“何で死んだの?”


…思い出したくなかった。


最低な質問だよ…。