本当に野球経験者なんだろうか。


半信半疑で彼の観察を続ける。


「群を抜いて上手いですね」

 
「……うん」


キャッチボールが始まった途端わかった。


おそらくこの部の誰よりも上手い。


ダテに朝陽くんに片想いしてたんじゃない。


ちゃんと野球の勉強もしながら片想いしていた。


だからそれなりに野球の知識はあるし、上手い下手を見分けることくらいできる。
 

望月くんは私が出会った中で、朝陽くんの次に上手い。


それくらいの選手だ。


自分の中で彼への期待が膨らんでいくのがわかる。


投手なのか野手なのかすら知らないけど、彼となら甲子園が目指せるかもしれない。

 
なんの根拠もないけど、そう思った。





キャッチボールが終わり、野手と投手が二手に分かれる。


望月くんは投手のグループにいる。


「私はトス係やってくるので、千紘さんは投手の方へ行ってください。気になってるんですよね?」


「へ…!?」


真子ちゃんはウインクして颯爽とグラウンド内へ駆けていってしまった。


たしかに、飛び抜けて上手い彼のことが気になっている。


真子ちゃんには全部お見通しか…。