「あっ、それでね、千隼くん」


……え…?


華が千隼くんに手渡したノート。


それは失くしたと思った大宮の攻略ノートだった。


「これ…大事なノートなんだよね?」


「…なんで安藤が?」


「金曜日の放課後、教室掃除のときに机運んでてたら落ちてきたの」


…金曜日の放課後に掃除をしたのは私だ。


華に押し付けられて仕方なく当番を代わった。


「誰の机?」


「…千紘」


…嘘だ。


きっとノートを盗ったのは華。


ノートを失くしたら私が怒られると思ったから盗ったんだろう。


「あの子、良い噂聞かないから気をつけたほうがいいよ…?最近仲良いみたいだけどさ」


「そんな奴だとは思えねーな」


「人は見かけによらないんだよ。万引きしてたり、気に入らない女の子を影で虐めたり、過去にトラブルたくさん起こしてる」


……っ!


違う。


それは華のほうじゃない…。


私はそんなことしないのに…。