「こんなにサイン合わないの珍しいですよね」


「二人とも気が強いからじゃない?」


堀田くんと藤川さんは、翔吾のサインをゴリ押ししてくるところが好きだって口を揃えて言っていた。


二人とも協調性があって優しいタイプだからそうなんだろう。


けど千隼くんはそういうタイプじゃない。


…朝陽くんとは違うところだ。


やっと見つけた。


朝陽くんとの違い。


そうだ。


あそこにいるのは朝陽くんじゃない。


「千隼くん…頑張って…」


いい加減、千隼くんと朝陽くんを重ねるのはやめなきゃ。


千隼くんに失礼だ。


次とその次の打者を打ち取り、千隼くんは無失点で7回を終えた。


「お疲れ様!」


バッテリー会議をしながら戻ってきた2人にタオルとドリンクを渡す。