え…?


千隼くんが…?


「あんまり鍵は貸すなよ?こういうことになるから」


「あ……はい…。でも……」


失くしたのは私なのに…。


「…まっ、そう落ち込むな。望月が一丁前に言ってたぞ。ノートなんかなくても勝ってみせるから安心してくださいって。ビッグマウスすぎて怒る気も失せた」


監督は呆れた表情をしつつも、口角を上げてにこやかに笑っている。


「そういうことだから、気持ち切り替えて仕事仕事」


パンパンっと手を叩いて発破をかける監督。


…なんだか…千隼くんの嘘を見抜いてるような気がするな…。


本当は私の責任だってことも、わかった上で千隼くんの話に乗っかってくれてるんじゃないかな…。


千隼くんと監督の優しさに救われちゃった…。


そのぶん切り替えなきゃだよね。


明日の練習試合に勝つために、最大限のサポートをしよう。


「よしっ」


ペチンと自分の頬を叩き、マネージャーの仕事に戻ったのだった。