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翌々日。


「あれ?おかしいなぁ…」


鍵付きのロッカーの中には、対戦経験のあるすべての高校のノートがあるはず。


ざっと30冊だろうか。
  

そのうちの1冊、大宮(おおみや)高校のノートが見当たらないことに気づく。


大宮高校は明日の練習試合の相手。


熟読して部員に伝えようと思ってたのに…。


千隼くんが持ってるのかな。


でも…一昨日の昼休み以外に鍵を貸した覚えはない。


千隼くんが校外に持ち出したとは思えないしなぁ…。


首をひねりながらグラウンドに戻り、キャッチボールをしている千隼くんの元へ駆ける。


「大宮の攻略ノート持ってる?」


千隼くんはキャッチボールをやめ、眉をひそめる。


それを不審に思ったのか、キャッチボール相手だった翔吾も駆け寄ってきた。


「どうかした?」


「大宮の攻略ノートが見当たらなくて…。千隼くん知らないかなって思ってさ」


あのロッカーに近づいたのは千隼くんだけ。