可愛らしいだけじゃなくて、芯がある。


そして…心の中に陰りを抱えている。


そう直感した。


最初は俺のことを警戒してたっぽい千紘も、数日経つと心を開いてくれるようになって、他の何より嬉しかった。


「千紘ー、古典の予習してきた?」 


「もう、また忘れたの?もう次からノート貸さないからねっ」


ホントは必要ないのにノートを借りたりして話す口実を作ってみたりもした。


千紘のリアクションはいちいち可愛くて、もっと話したくなって。


気がついたら千紘に恋していた。


兄貴へのコンプレックス、野球が嫌いなこと。


甲子園なんて本当は目指していないこと。


出逢って間もない千紘に包み隠さず話したんだ。


俺のことを知ってほしくて、振り向いてほしくて。