「…っ」


私は何もしてないのに…っ。


千隼くんと仲良くしちゃいけない、なんて決められたくない。


千隼くんは大切なチームメイト。


一緒にいると楽しい友達。


それだけのことなのにどうして…?


私には他に好きな人がいるって説明したのに…。


ポタ…ポタ…ポタ…っ


前髪から大粒の雫が垂れては床の水溜りに吸い込まれていく。


その水溜りに涙が混じっていることを誰にも言えなかった。


拭いても拭いても増えていく小さな水溜り。


その痕跡を跡形もなく消してから、私は部室を立ち去った。


スブ濡れの体と赤くなった目を見られないように隠しながら…。