「大好きだよ、千隼くん」


お母さんがどれだけ千隼くんを悪く言っても、私がそれ以上に千隼くんを愛す。


この気持ち、伝わってる…?


「…ありがとな」


伝わってないのかな…。


苦しそうな声色のままだ。


「じゃあさ…千隼くんは何のために野球やってるの?甲子園目指してる理由は何?」


「…え?」


「教えて?」


引いて駄目なら押してみろ的な手法だ。


甲子園に行くためには、千隼くんの心のケアをしなくちゃいけない。


それが私たちのためになる。


「千紘との約束を果たすため」


「でしょ?じゃあ他のことは考えないでよ。私のことだけ考えてて?だめ?」


千隼くんをジッと見上げて反応を待つ。


「…いつからそんな大胆なこと言うようになったんだよ」


ボソボソと呟き私から離れようとした。


その手を掴んで引き寄せる。


「ね、お願い。私は誰よりも千隼くんが好きだよ。死ねばよかったなんて思ってない。思うわけない。私を信じて?もう過去に惑わされないで」