「鶴海との対戦となると、嫌でもあのときの事が蘇える。また、俺が皆の夢を壊すんじゃないかって怖くてさ」


千隼くんは苦しそうにフッと笑った。


無理して笑う千隼くんを見るのはつらい。


ぎゅ…っ


いつもしてもらってばかりのハグ。


千隼くんのハグは力をくれる。


優しい温もり。


いつものお返しだ。


「大丈夫だよ、千隼くん。もし、マウンドで不安になったら、ベンチを見て。私はずっとずっとベンチから応援してるよ。だって、千隼くんの味方だから。何があってもそれは変わらないよ」


より一層強く抱きしめる。


伝わってほしい。


千隼くんはひとりじゃないって。


いつでも味方が側にいるんだよって。