「今は一人暮らしだから気楽に上がって」


「う、うん…」


勢いで家に来てしまったけど、本当によかったのかな…。


それに一人暮らしって…。


「リビングはこっち」


案内されたリビングは広々としていて、あまり生活感がない。


「どうぞ座って」 


ソファに座って待っていると、冷たいお茶とカップアイスを持って来てくれた。


「いいの?ありがとう!」


しかも私が大好きなチョコ味。


食べ進めていくうちにソワソワした緊張感が溶けていく。


「…去年の夏のこと覚えてる?」


私が食べ終わるのを待ってから、千隼くんは話し始めた。


真剣なトーンで、表情に笑顔はない。


「うん、覚えてるよ」