「翔吾と違って千紘は頭良いんだな」


千隼くんがニヤニヤしながら肩を組んでくる。


「てかお前らすっかり仲良くなってんな」


翔吾に指摘され、ハッとその事実に気づく。


肩を組まれても嫌だと思わないし、なんの違和感もなかった。


あの土砂降りの日以来、私と千隼くんの仲は急速に縮まっていたんだ。


「で?続き教えてよ」


夏菜が千隼くんの腕を私から剥がして言う。


「あぁ…、だから―」


千隼くんに触れられた肩がほんのりとまだ熱い。


朝陽くんだったらな…。


なんて考えてしまう最低な自分がいる。


投げ方がそっくりなせいで、必要以上に朝陽くんを重ねてしまう。


投げ方以外は全然似てないのに。


包み込んでくれるような優しさの朝陽くんと、ぶっきらぼうだけど芯は優しい千隼くん。


球児って感じの朝陽くんと、球児らしさを感じない千隼くん。


がむしゃらで一生懸命な朝陽くんと、なんでも飄々とこなしてしまう千隼くん。


穏やかなで誠実そうな朝陽くんと、ちょっとトゲトゲしているヤンチャな千隼くん。