「あんまりジロジロ見ないでよ…。お裁縫は苦手なの…」


「そう?全然可愛いじゃん。一生懸命作ってくれてることが自体が嬉しいし」


「……!」


サラッとカッコいいことを言われると反応に困る…。


「イチャつかないでください。で、千隼さんは何の用で来たんですか?」


「ごめんごめん。スコアブック取りに来た」


スッと野球部の顔に切り替わる千隼くんに、またドキッとさせられる。


「スコアブック…これですよね?」


「あぁ、そうそう。サンキュ。じゃ、裁縫頑張って。楽しみにしてる」


千隼くんは爽やかな笑顔を残して部室を去っていった。


こんな不格好なお守りを“可愛い”って言ってくれた。


だからこそもっとしっかりしたお守りを渡してあげたい。


「よーし、がんばろっ」


最後の夏。


最高の夏にしたいんだ。