「…また……」


朝陽くんが亡くなって7年が経つというのに、今でも夢に見る。


甲子園に連れて行ってくれるという約束。


もう叶うわけもないのに、今でも忘れられない。


私水原千紘(みずはらちひろ)は、近所に住む野球少年のお兄さん桜庭朝陽が好きだった。


朝陽くんと最後に会ったのは私が小3、朝陽くんが中1のとき。


朝陽くんにとって私はただの妹みたいな存在だっただろう。


そんなことはわかってる。  


でも…今でも忘れられない。


野球が上手くて、優しくて、カッコよくて、おもしろくて、一緒に遊ぶと楽しかった。


朝陽くんは中学生になると、有名なジュニアチームに入ったから、遊べる時間は激減した。


あとから聞いた話、周囲の朝陽くんへの期待はかなり大きかったらしい。


とんでもない中学生が出てきたと言われていたそう。