「翔吾!コイツどうにかしといてくれ!千紘、行くぞ」


倉庫に駆け込んできた翔吾は、頼まれるや否や赤坂くんに向かっていく。


千隼くんは、力が入らない私を抱きかかえて倉庫から脱出させてくれた。


「千隼くん…っ。怖かった…っ。怖かったよ…っ」


ぎゅっと抱きしめられた途端、堰を切ったように涙が溢れ出す。


「ごめんな、千紘…。もう傷つけないって言ったのに……」


「千隼くんのせいじゃない…っ」


「…俺が悪いんだ。安藤の暴走は俺のせいだから」


ツラそうに言い切る千隼くんの声を聞いて、思った。


過去のしがらみはまだなにも晴れていないんだ、と。


まだ何も解決していないんだ、と…。


朝陽くんの死は、どれだけ私たちを苦しめるのだろう。


どれだけ多くの試練を与えるのだろう。 


「もう嫌だよぉ…っ」


私は単に千隼くんと一緒に夢を叶えたいだけなのに。


どうしてそれができないのかな…っ。


嗚咽が止まらない私を、千隼くんはずっと抱きしめていてくれた。