「帰るか。家まで送る」


「でも…練習で疲れてるでしょ?私は大丈夫だよ」


翔吾の家は私の家とは逆方向。


ハードな練習帰りに遠回りさせてしまうのは申し訳なさすぎる。


「何言ってんだよお前は。バカじゃねぇの。他人より自分を大事にしろよ。ったく。行くぞ」


有無を言わさず翔吾が私の背中を押す。


「ごめんね、迷惑かけて」


「迷惑だなんて思ってねぇよ。んなことより本当に大丈夫なのかよ」


「大丈夫だよ。ホントに何もされてないから」


ホントは怖かった。


でも、すぐに翔吾が来てくれたから。


だから大丈夫。


「…そういえば、なんで来てくれたの?」


もう皆帰ったあとだったのに。


「家の鍵グラウンドに落とした気がして戻ってきたら倉庫から叫び声がしたから」


「鍵落としてくれてよかったぁ…」


「よかったぁ…じゃねぇよ。体育倉庫に呼び出されてなんで警戒しねーんだよ」


…そのとおりだよね…。