翔吾が優しさで言ってくれているのはよく分かる。


でも。


「せっかく再スタートした。もう1度甲子園を目指そうって頑張ってる。それなのに、出場できなくなったらどうするの?私は嫌だ。このチームを守りたい」


そりゃ、触られて嫌だったし怖かった。


翔吾が来てくれなかったらと思うと震えが止まらない。


でも…、そんなことよりも守りたいものがある。 


「…だってさ…、千隼くんが戻ってくるかもしれないんだよ。ちゃんと迎え入れてあげたいじゃん」


私一人が我慢すればいい。


そうすれば丸く収まるんだから。


「…相変わらずバカだな、お前」


翔吾はフッと笑って立ち上がる。


「今日のことは秘密にしとく。だけど、1つだけ約束しろ」


「約束…?」


「何かあったら絶対に俺に話すこと。ツラくなったらすぐに俺に話すこと。嫌な気持ちになった時もすぐに話せ。いいな。約束だかんな」


翔吾……。


「ありがとう、約束する」


私を守ろうとしてくれてるのがよく伝わる。


本当に優しい人だ。