「申し訳ないけど、千隼がいないこのチームが優勝できるわけないと思ってたし、今でもその気持ちはある。でも…奇跡を信じて練習すんのも悪くねーなって思った。だから、もう1度甲子園を目指して全力で向き合いたい。俺はそう思った。お前らはどう思う?」


翔吾の熱い問いかけに最初に答えたのは堀田くんだった。


「俺も、千隼がいないチームで勝てる自信がない。俺が投げて光西を抑えられると到底思えない。でも、それでも諦めたくない。必死に努力して少しでも千隼に近づけるように頑張ろうと思ってる」


「俺も同じだ。千隼なしで勝ってやろう。アイツを後悔させてやろう」


皆……。


翔吾に触発されたように皆口々に決意を述べていく。


翔吾はやっぱり皆の中心だ。


その翔吾に夏菜の気持ちが届いた。


夏菜との約束があるから翔吾が自分を取り戻せた。


だから今の翔吾がいる。


夏菜…ありがとう。  


このチームの救世主だよ…。




その矢先の事だった――

あんなことが起きてしまうなんて―