私にとっては救世主だった。


「…でも、今は…、千隼くんがいる」


思い切ってそういうと、千隼くんは驚いたように私を見た。


「つらいときに助けてくれる人がここにもいる。だからね…、もう彼のことは忘れることにしたんだ。千隼くんときちんと向き合う。そう決めたの」


千隼くんの目を見て、はっきりと伝える。


私の決意を。


7年。


7年かけて、ようやく一歩前進できたんだ。


「…なんで急に気持ち変わったの?」


戸惑ってるのか、驚いているのか、目を泳がせて私を見てくる。


「…千隼くんさ…、ずーーっと努力してて、ずっとずっと頑張ってたじゃん…?

だけど、あの夏…努力は報われなくて…。ロッカールームで泣いてる千隼くんを見て、思った…。

この人のことを支えたい…って。

それに…きっと千隼くんは…何か抱えてるんだろうなって思って…。尚更側にいたくなって。

…合宿のあの夜、星空を見せてくれたでしょ?亡くなった人は星になって私を見守ってるって。

それを聞いて、妙に腑に落ちたというか…。あぁ、朝陽くんはずっとそこにいるんだ、って思えたっていうか…。

うまく言えないけど、なぜだか一歩進めそうな気がしたの」