「ほい。リンゴジュース」


「ありがとう!」


缶のリンゴジュースとコーヒーを持ち、隣に腰を下ろす千隼くん。


「千紘から誘ってくるなんて珍しいじゃん」


「ごめんね、練習時間奪って」


今日はグラウンドの関係で練習が早く終わった。


いつもなら千隼くんはバッティングセンターに直行して練習するんだけど、お願いして時間を作ってもらったんだ。


「…ここね、朝陽くんとの想い出の公園なの」


「朝陽くんって?」


「あ…私の初恋の人…」


「……ふーん…」


名前を出すつもりはなかったのに、つい口走ってしまい気まずい空気が流れる。


千隼くんからすれば名前なんてどうでもいいよね…。


「……その人ね、すごく優しくて、いつも私の相手をしてくれてて…。つらいことがあったら、いつもここに来てその人と話してた」