一人になると夜の静けさが増す。


虫の声がより大きくなる。


「…亡くなった人は星になる…か……」


赤く光る大きな星。


心なしか最初に見たときよりも強い存在感を放っている気がした。


手を伸ばすと、手のひらで覆われて見えなくなってしまった。


試しに握って見ても、赤い星は掴めなかった。


そりゃそうだよね…。


手を伸ばせば届きそうなのにな…。


こんなに大きく見えても、本当は想像もつかないくらい遠くにある。


どんなに頑張ってもあの星は掴めない。


分かってる。


そんなことは分かってる…。


もう朝陽くんには会えない。


どんなに願っても、この願いは叶わない。


「いい加減けじめつけなきゃだね……」


私の呟きは、誰にも届くことなく夜空へ消えた。