「だから、連絡先教えろって」


校門を出てからも望月くんはしつこくついてくる。


こういう強引なところは朝陽くんと全然違う。 
 

そりゃそうだよね。


望月くんは朝陽くんじゃないから。


「…ごめんね」


私が悪い。


勝手に朝陽くんと重ねて、勝手に望月くんを遠ざけようとしている私が悪いんだ。


「そんなに拒否されると逆に気になる」


いたずらっ子な表情で目の前に回り込まれて、歩みが止まる。


「わかった。スマホ買ってもらったら教えるね。それじゃ」


横をすり抜けようとしたその左手を掴まれ、またその場に引き止められる。


望月くんは明るい雰囲気を消して、すごく真面目な雰囲気に変わっていた。


「……何?」


「甲子園に連れていくって約束するって言ったら?甲子園、行きたくね?」


“甲子園に連れていく”


7年前に聞いた言葉。


またそれを投げかけられ、思考が停止する。