「……ごめん、私スマホ持ってないんだよね」


望月くんとは関わりたくない。


朝陽くんを思い出したくないから。


顔も年齢も違うのに、あんなそっくりなフォームを見せられたら嫌でも重ねてしまう。


「…なんで嘘つくんだよ。いーじゃん」


無視して校門を目指すけど、望月くんはなぜか真横をついて歩いてくる。


関わりたくないという精一杯の意思表示だったのにな…。


「明日から正式に北野高校野球部の一員なんだし、仲良くしよーぜ」


……入部するんだ。


そりゃそうか…。


あんなに上手いんだもん。


キャプテンも監督も放っとかないよね。


毎日朝陽くんの面影を見なきゃいけないんだ。


…明日からは真子ちゃんに代わってもらおう。


望月くんの方はなるべく見ないようにして考えを巡らす。