「1点でもいいから取りたい…」


打席に立つのは翔吾。


守備体形的に、どこかに転がしさえすれば1点は入る。


逆に言えば、このチャンスを逃すと流れが完全に鶴海に行く。


この回が勝敗を左右する可能性は高い。


「翔吾ーーー!!!!」

「打てーーー!!」

「気楽にいけよー!!」


球場のボルテージは最高潮に達する。


そんな中で投げられた一球目を見逃した翔吾は、悔しそうに体を仰け反らせる。


頑張って…、翔吾…。


そして2球目。


カッキーーン!!!


「いった!!!!」

「っしゃ!!!!!」


皆がベンチから身を乗り出して打球を追う。


その打球は、大きな放物線を描いてレフトスタンドに入った。


その瞬間、うおぉぉぉっと大歓声が沸き起こり、鳴り止まない応援がダイヤモンドに降り注ぐ。


これで3-0。


スコアブックにホームランを記録する。


勝利がグッと近づいてき、武者震いで手が震える。


「っしゃーーー!翔吾ないすぅ!」


「あざーっす!」


金髪をなびかせながらベンチに戻ってきた翔吾は、一段とカッコ良かった。