そんな私の心配とは裏腹に、千隼くんは今日も絶好調だった。


さすがにノーヒットには抑えられないけど、それでも5回までを無失点。


ただ、鶴海のエースはやっぱり手強く、北野も1点も取れない展開だ。


「お前らいい加減点とれよ!千隼の好投を見殺しにする気か?」


監督が発破をかけて始まった6回表。


まず千隼くんが四球を選んで出塁し、盗塁まで成功させる。


「千隼くん…!!ナイススチール!!」


投げて、打って、走って、を全部人並み以上にこなす千隼くん。


おかげでノーアウト2塁の大チャンスだ。


やっと作れたチャンスに、スタンドから大声援が聞こえてくる。


続く2番打者は、単打で繋ぎランナー1、3塁。