さすがの千隼くんも、少し緊張しているんだろう。


汗を拭う回数が増え、ロジンを触る回数も増えた。


2ボール2ストライク。


なんとか2ストライクまで追い込めた。


「あとひとつ…!!頑張って…!!!」


向こうの打者は、さすが光西というように何回も何回もファールにして粘ってくる。


なかなか最後のストライクがとれない。


見かねた翔吾がマウンドへ向かう。


緊迫状態が10分近く続いており、並のメンタルじゃ投げきれないだろう。


お願い、千隼くん…。


なんとか逃げ切りたい…。


翔吾からの言葉に大きく頷いた千隼くん。


そしてその直後の一球。


今日1番の剛速球が翔吾のキャッチャーミットに飛び込んだ。


「ストラーーイク!!!!」