朝陽くん…。


朝陽くん、会いたかったよ。


ずっとずっと会いたかった。


「千隼やべぇな。超いい球投げんじゃん」


「サンキュ」


あれは朝陽くんじゃないよ。


もう一人の私が私に呼びかける。


「朝陽くん…」


突然いなくなった大好きな人。


サヨナラも言えなかった。


本当に突然、朝陽くんを失った。


甲子園に連れて行ってくれるはずだったのに。


どうして。


どうしていなくなったの…?


「……っ」


だめだ。


望月くんを見ると彼を思い出して胸が苦しくなる。


いい加減忘れなきゃいけない人。


なのに、また朝陽くんに会いたくなる。


望月くんじゃなくて、本物の朝陽くんに…。





「水原!」


部活を終え、さっさと帰ろうと思っていたところを引き留められた。


声の主は望月くんだった。


「今日撮ってた動画、送ってくれ」


望月くんはそう言いながらメッセージアプリのQRコードを見せてくる。