そして、次の打者をセカンドゴロに打ち取り、ダブルプレーをとった。


「ナイス!!」


これでランナーはいなくなった。


9回ツーアウト、ランナーなし。


「あとひとりーーーー!!!頑張れーーー!!」


一塁側スタンドが熱気の渦に包まれる。


負けじと三塁側からも大声援が聞こえ、両者の意地と意地がぶつかり合う。


負けたくない。


絶対に負けられない。


気持ちは同じだ。


地方大会とは思えない異様な空気に押しつぶされそうで、心臓が痛い。


口の中が乾く。


ギュッと握りしめていないと手の震えが止まらない。


「あとひとり……」


対峙するバッターは、あと一歩でホームランという打球を打った長距離砲。


一発が出たら追いつかれてしまう。


お願い千隼くん…。


警戒しているのか、ボールが2つ続く。


「頑張れ…。千隼くん…」


ドクっ、ドクっ、ドクっ


鼓動が激しくなる。