似てるだけ。 


望月くんは朝陽くんじゃない。


わかってる。


わかってるよそんなこと。


でも…っ。


朝陽くん…っ。


「―ちゃん!聞いてる?」


久しぶりに朝陽くんに会えた気がしたんだ。


間違いなのに。


あれは望月くんで、朝陽くんじゃないのに。


朝陽くんにはもう会えないのに。


「千紘ちゃん?」


っ!!


「ご、ごめん何?」


気がついたら防球ネットに寄りかかるようにして座り込んでいた。


堀田くんに呼ばれて慌てて立ち上がる。


「大丈夫?千隼の球も一応撮っといてほしいんだけど、体調平気?」


「あ…うん、大丈夫だよ。撮っとくね」


スマホを望月くんの方へ向け、録画ボタンを押す。


画面に映る望月くんは、朝陽くんそのものだった。


顔こそ似ていないけど、フォームは……。


カタカタカタ…


指が震える。


これは再会じゃない。


頭では分かっていても、感情は抑えきれなかった。