✡✡
―ザァァァァァ
――ゴロゴロゴロッ
「うわっ、雨降ってきた！」
「早く帰ろうぜ！」
準決勝前の最後の練習が終わった瞬間、グラウンドはゲリラ豪雨に曝される。
「最悪ー…傘忘れちゃった…」
校舎の屋根の下で真子ちゃんが呟く。
雨あしは強くなる一方。
「私の折りたたみ傘使う？」
「いいんですか？」
「うん。真子ちゃん家遠いでしょ？」
私は近いから傘なしでも風邪は引かないだろう。
「すみません、お借りします」
「はーい。気をつけて帰ってね〜」
黒い折りたたみ傘をさして小さくなっていく真子ちゃんを見送る。
地面に叩きつけられた大粒の雨が、ビチャビチャッと足元に跳ねて靴下も靴もびしょ濡れだ。
