「これお前に。なんか隣のクラスの子に渡してほしいって頼まれた」


と、千隼くんが翔吾に手渡したものは、見るからにラブレター。


「なんだよー、直接渡しに来てくれたら喜んで受け取るのに。何が悲しくて男からラブレター受けとんなきゃいけねーんだ」


「貴重な貴重なラブレターだろ。喜べ」


真っ白の封筒には、可愛らしい文字で“翔吾くんへ”と書いてある。


「誰かさんと違って可愛い文字だな」


翔吾はニヤッと笑って夏菜を見る。


翔吾ってほんと…小学生みたいなところがあるよね…。


好きな女の子をからかうところとか…。


「ホントムカつく」


夏菜は嫉妬してるのか、不機嫌を全面に押し出して手紙を睨みつける。


「怒んなって。別にこの子と付き合ったりしねーよ」


「……そうなの?なんで?」


「…なんでって…」