「弥生、そろそろお店出よっか?」

その冬夜くんの言葉で、私の思考は現実に戻される。

気がつけば、バイキングの制限時間が近づいていた。

冬夜くんを見れば、冬夜くんのお皿は空になっていて、もうお店を出る準備ができている。

それに対して私は、黙々とケーキをむさぼっていたらしい。

その証拠に、手はお洒落なフォークを持っていた。

もちろん、準備なんてできている訳がない。

「ごっ、ごめん! 今準備する!」

自分でも思ったより大きい声が出てしまい、それにびっくりしていると、

「ゆっくりでいいよ。急かすつもりはなかったんだけどね……」

と、冬夜くんが苦笑いで答える。

それでも、できるだけ急いで準備を済ませると、2人でお店を出た。