「どうして好きな人と他の子の仲介役(キューピット)やらないといけないのよ!」

そして、今日もまた、私は京介に愚痴っていた。

何度も同じ失敗を繰り返す私の話を、苦笑いを浮かべつつも聞いてくれる京介。

その面倒見のよさに甘えて、私はいつも彼に愚痴ってしまうのだ。

「じゃあやらなきゃいいじゃん」

「うぐっ。……だって、恋バナ気になるから、聞いちゃうんだもん」

過去に何回も橋渡し役をこなしてきた私は、今や、立派な恋愛上級者(マスター)として名が知られている。

恋愛相談=柚の方程式が成り立つらしい。

……でも、正直に言うと、「自分の恋愛も上手くやれないやつに頼んでいいの?」と思う。

「あ、そうだ」

そこで、ポン、と手を打った京介が、思わずといった調子で呟く。

なんとなく嫌な予感がしつつも、取り敢えず私は聞き返す。

「なに?」

「せっかくだし、俺の恋愛相談も聞いてよ。恋愛上級者(キューピット)さん?」

すると、顔に隠し切れない笑みを貼り付けた彼はそう言った。

「なにがせっかく!? こちとら傷心なんだぞ、こんにゃろー! ……まあ、聞いてあげるけど」

「あ、なんだかんだ言って聞いてくれるんね」

傷口に塩をもみこむかのような京介の申し出に、一瞬断ろうかとも考えたが、結局好奇心に負けて聞いてしまう。

多分、こういうとこなんだろうなぁ……。

私はため息をつきつつ、話してみなさい、とジェスチャーをした。