あの日。

レクイエムの巨体は、太陽を隠し、空を覆い尽くした。

核兵器を無効化…または、誘爆させることができる特殊能力により、レクイエムは、各国の核兵器の発射体勢に入っていた核弾頭を故意に爆発させた。

それにより、まずは北朝鮮、中国…イスラエルが保有していた核が爆発した。

その危険性に、各国が気づいたときには、遅く。

レクイエムは信じられない速さで、ロシア、インド…アメリカの核兵器を誘爆させた。

世界中の町が破壊され、放射能が世界中を覆うと思われた時…レクイエムは、全身から目映い光を発した。

のちに知ることになるだが、それは放射能を除去する光だったのだ。

しかし、レクイエムが照らしたのは、一部の地域だけだった。

レクイエムに跪いた国や、地域のみ。

放射能に汚染されながらも、各諸国は最新鋭の近代兵器で、たった一機のレクイエムに一斉に攻撃をした。

しかし、数百万の戦闘機が空母が…戦車が一方的に破壊された。その損害は、計り知れなかった。

それだけではなく、レクイエムは各国の電話回線に自動アクセスし、すべてを焼き付くし、破壊…または支配するという特殊機能をも兼ね備えていた。

電脳兵器ともいわれるその能力により、世界が別の通信回線を形成するまで、十年以上かかることになった。




西暦が終わる数ヶ月前。

レクイエムは、自らの後継機とも言える機体を戦地に投入した。

大和…隼…雷電…白鷺というコードネームで呼ばれる四体のフィギュア。

その機体たちは、日本軍を名乗った。

レクイエム…プラス四体のフィギュアにより、産業革命から始まった資本主義社会は崩壊した。



彼らは、国を占領する気などなかった。

日本だけが残ればいいと。

日本以外で、人が住む必要はないと。

彼らは、日本以外の地域に、人はいないと定めた。

その他の地域に人がいた場合、似てるものと呼び…殺戮の許可を下した。

そのような世界で、人々は生きていた。

フィギュア世紀と呼ばれる新時代を。