「陸奥!?」

河村は、オリジナルフィギュアと陸奥の間くらいに、機体を着地させた。

――うおおお。

突然、地響きのような雄叫びが、基地内の空気を震わせた。

「?」

河村が振り向いた時には、オリジナルフィギュアは前を通り過ぎ、真っ直ぐに陸奥に向かって走っていた。

「成る程ね」

ブシ達のコアを食べていた陸奥は、振り向き様の鎌を横凪ぎに振るった。

「目覚めたばかりで、お腹が空いていると!それも、雑魚ではなく、陸奥のコアがほしいと!」


その動きを、目で見ていた管制室の人間達は、目を見開いた。

「馬鹿な!オリジナルフィギュア同士で、戦うだと!や、やめさせろ!」

司令官の言葉に、オペレーターは冷静に答えた

「通信…まだ回復しません!」

「く、くそ!」

その答えに、司令官は目の前のディスクを叩いた。



「少し傷物になったけど…まあ〜仕方ないわ」

陸奥のパイロットは笑った。

しかし、その笑いはすぐに凍り付くことになった。

オリジナルフィギュアは左腕で、鎌を受け止めていたからだ。

「な!こ、こいつのコーティングは!」

そして、腕の力だけで、鎌を押し返すと、陸奥の頭部に右拳を突き刺そうとした。

「だけどね!」

拳があたる寸前、陸奥の尾が、オリジナルフィギュアの足下に絡み付き、バランスを崩させた。

「経験値が足りないのよ!」

その為、地面に背中から激突したオリジナルフィギュアは、陸奥の長い胴体に羽交い締めにされた。


「あ、あれが…フィギュア同士の戦いか?」

ガルの中で、呆然としてしまった河村は、二機の戦いがまるで…別の何かに見えていた。



「まったく〜仕方がないわね」

動きが封じられ、動けなくなりながら、もがくオリジナルフィギュアのバワーに内心驚きながら、パイロットは肩をすくめると、陸奥の手に残っていたブシのコアを、妹の口に持っていった。