春に笑って、君宿り。

「あ、バス来たよ」

「ほんとだ」


このバスに乗ったら家まであっという間についてしまう。
もっとこうしていたいのに。

また週が明けたら学校で会えるのに
放課後またこうやって一緒に帰ったらいいのに

ひどく寂しい。


「雪杜くん」

「うん?」


荷物を持ち上げる彼の服の袖をきゅっとつかむ。

最初は想うだけでよかった。
すぐに私の気持ちを分かって欲しくなった。

笑って欲しいと思うようになった。
それは私が君の笑顔を見たいから。

そのために「私になにができるだろう」って思うようになった。

一緒にいる時間を重ねるたびに、いつのまにかその気持ちを忘れてしまって。


想うだけじゃ
尽くすだけじゃ
全然足りなくなって。


君の言葉が、気持ちが、どんどん欲しくなる。

どんどん欲張りになっていく。


「15分、早い……ね?」


寂しいって言えなくて。
そんな言い方になる。