あざとい?私が……?

「お前の気持ちは十分、よく分かったよ」

「ほ、ほんと?」

「ああ。……清宮が卒業したら、この返事は必ずするから、それまで待っててくれないか」

「……はい」

 私にとって時雨先生は、本当にヒーローだ。困った私を助けてくれる、ヒーロー。
 先生のこと、ますます好きになった気がする。

「家まで送ってくよ、清宮」

「……ありがとうございます、時雨先生」

 こうやって時雨先生と並んで歩くなんて、今まであっただろうか。……ううん、なかった。
 時雨先生と二人で歩くこの道が、好きになりそうだった。

「身体、大丈夫か?なんともないか?」

「大丈夫です。 ちょっと肘、擦りむいたけど」

 さっきの衝撃で、肘を擦りむいたけど、それももう痛くない。
 これも先生のおかげかな。

「そうか。……大したことなくて、良かったよ」

 時雨先生はホッとした様子だった。

「ねぇ、時雨先生」

「ん?」

「私……先生の期待に応えたい」

 先生が私をスタメンに選んでくれた今、絶対に結果を残したい。 先生の喜ぶ顔が、見たいって思ってる。

「おう。 期待してるぞ」

「はい」

 私の大好きな人は、私の大好きなヒーローは、男らしくて力強いバレーボール部の顧問でした。



【THE END】