時雨先生は、私の頭をポンと撫でてくれる。

「……先生、時雨先生」

「どうした?」
 
 先生は私に視線を向けている。

「……私、先生のことが好きです」

 私は、無意識に時雨先生の服を掴んでいた。

「……ん?」

 時雨先生は、私を不思議そうに見つめている。

「先生のことが……好きです」

「それって……先生として好きってことか?」

「ううん、違います。……先生としてじゃなくて……一人の男性として、好きです」

 私は気持ちを伝えると、そのまま先生に後ろから抱き着いた。

「お、おい清宮!お前、こんな所で……!」

 慌てふためく先生に、私は「好きなんです、先生。……だから私が卒業したら、この告白の答えをください」と伝えた。

「……清宮」

「私……卒業するまで、ずっと待ってますから」

「……本気、なのか?」

「はい、本気です。……私は先生と少しでも近付きたくて、バレー部に入りましたし」

 こんなこと、先生に一度も話したことない。そもそも、話すつもりもなかったんだけどな……。
 なんで話しちゃったんだろう?

「そうだったのか……。清宮、お前ってヤツは……」

「……なんですか?」

「いいや。 あざとい女だな、と思ってさ」