「おはよう」


「おはよう、木下さん」


 僕が朝早く登校して読書をしている時、今登校してきた木下さんが僕に声をかけた。


「あ、そうだ。サンダーソニアって、本当にある花なんだね」


「え、君、ないと思ってたの?」


「うん。でも昨日調べて分かった」


 サンダーソニア星がないことには、あえて触れなかった。まぁそう言われた時からほどんど信じてないし、今も信じてない。


 でも木下さんの世界を壊してはいけないと思った。


「かわいいよね、クリスマスベル」


「本当、あんな花があるなんて不思議だよ」


「今度探しに行ってみようか」


「何言ってんの、無理だよ」


「確かめたことあるの?」 


「ないけど無理だよ。南アフリカ原産ってあったし」


「そっか」


 僕たちの会話は、それっきり途絶えた。