遠い星に住む君と

「失礼します」


 僕は木下さんのいる病室のドアを数回叩き、中に入った。


「あれ、君どうしてここがわかったの?」


 木下さんはとてもびっくりしていた。


「…先生に教えてもらったんだ」


 と、僕が言うと、あーそういうこと。と言って、窓の外に目をやった。


「あのさ、私、そろそろ星に帰らないといけないみたい」


「サンダーソニア星?」


「うん。あとね、長くて1週間ぐらいかな」


 そう言って僕に向けた彼女の目には、悲しさや寂しさの中に決意のようなものが見えた。


「明日、クリスマスだよ」


「だね。でも私、君と一緒に過ごせなくなっちゃった」


 あと1週間ということは、もう年は越せないんだろう。