「実はな、今日からこのクラスに新しい仲間が増えるんだ」


 今は少しずつ寒い冬に近づいてきた11月の初め。


 僕、安東(あんどう)リョウは、こんな微妙な時に転校生なんて来るんだなと思った。


「…じゃあ、入ってきてくれ」


 先生にそう促され、教室のドアがガラリと開いた。


「…この学校に転校してきました、木下(きのした)ツカサです。あと半年ぐらいですが、よろしくお願いします」


 女子か。でもその女子、木下さんは、少しも緊張していないように見えた。


 爽やかな笑顔で、ハキハキと自己紹介をしていた。