囚われの令嬢と仮面の男

 生垣に再び小さな通路ができて、私は一日のうちの数十分だけ、敷地内から抜け出し、イブと遊んだ。

 広場を通り、湖のほとりで座りながらおしゃべりや草花遊びを楽しんだ。

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 まぶたを持ち上げると、板張りの天井と石造りの壁が視界を埋め尽くしていた。

 夢を見ていた。子供のころに遊んだイブとの楽しかった思い出だ。

 唐突の別れがあまりにも衝撃的で、あんな日々があったことすら忘れていた。

 ベッドから起き上がり、懐中時計の時間を確認した。短い針が真下から少し傾いただけの位置をさしていて、あの男が来るまでに、まだ充分な時間があった。

 寝巻きのネグリジェからデイドレスに着替える。

 昨夜、壁に投げつけて割っておいた皿のカケラを袖口に忍ばせた。

 男は九時きっかりに来ると言っていた。部屋の扉はいつも内開きだ。

 私が考えた計画はこうだ。

 ベッドの上に全ての衣類を乗せて毛布を被せておく。私がまだベッドで寝ているように見せかけておいて、当の私は扉を開けたときに死角になる裏側に潜んでおく。