「まだマリーンは子供なんだ。誘拐される恐れもある。遊ぶなら屋敷内にしなさい」
それなら外にいるイブを敷地に入れてもいいのかと尋ねると、「それはだめだ」の一点張りだった。
お父様は私を守りたい気持ちから、外部の者、つまり貴族ではない者との交流を避けているようだった。
ましてや、イブは親を亡くした孤児で施設育ち。お父様にとって、最も娘に近づけたくない危険分子と判別されていた。
**
ベッドに横たわったまま薄く目があいた。いつの間にか眠っていたようだ。
のっそりと体を起こすと、それまで掛けられていた毛布が背中から滑り落ち、端がベッドの縁へ垂れ下がった。
あの男が掛けてくれたもの……?
なかなかに良質な毛布だ。
四隅で煌々と輝く燭台に目を向けてから、部屋の隅に置かれたテーブルと椅子を確認する。
あの男は、いない?
燭台の明かりで満たされた室内には、どうやら私しかいないようだ。
今は何時かしら? 朝? それとも夜? 窓がないから分からないわ……。
さっきまで寝ていたせいか、ふぁ、とあくびがもれる。大口を隠すため、いつもそうするように右手で口元を覆ったとき、それに気が付いた。
「縄が……ほどかれてる?」
それなら外にいるイブを敷地に入れてもいいのかと尋ねると、「それはだめだ」の一点張りだった。
お父様は私を守りたい気持ちから、外部の者、つまり貴族ではない者との交流を避けているようだった。
ましてや、イブは親を亡くした孤児で施設育ち。お父様にとって、最も娘に近づけたくない危険分子と判別されていた。
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ベッドに横たわったまま薄く目があいた。いつの間にか眠っていたようだ。
のっそりと体を起こすと、それまで掛けられていた毛布が背中から滑り落ち、端がベッドの縁へ垂れ下がった。
あの男が掛けてくれたもの……?
なかなかに良質な毛布だ。
四隅で煌々と輝く燭台に目を向けてから、部屋の隅に置かれたテーブルと椅子を確認する。
あの男は、いない?
燭台の明かりで満たされた室内には、どうやら私しかいないようだ。
今は何時かしら? 朝? それとも夜? 窓がないから分からないわ……。
さっきまで寝ていたせいか、ふぁ、とあくびがもれる。大口を隠すため、いつもそうするように右手で口元を覆ったとき、それに気が付いた。
「縄が……ほどかれてる?」



