「どういうこと?」
「どこの世界に王族にぞんざいな扱いをする貴族がいるというのか。しかも、何の面識もない末端の男爵令嬢が馴れ馴れしく殿下に話しかけるなど。それだけでなく、嫌がる殿下を無理やりに引きずり出そうとするとは。貴族の風上にもおけぬ所業だと思うがな」
「そ、それは……照れて、恥ずかしがっていると、思ったからで」
「初対面のどんな人物かもわからない人間について行く者などいないだろう? 声をかけられれば知らない人間について行ってもよいと両親に教えられたのか?」
「いえ。ついて行くなと言われてました」
「それが当たり前のことだ」
「あっ、でも。レイニー殿下と一緒に行くつもりだったから、大丈夫では?」
何を言っている。
「そういうことではない」
父が一刀両断するもリリアはわかっていない様子。
どう説明したらいいのだろうか。



