レイ様がアンジェラ様を諫めてくださいました。
近いうちに私にも事情を聴かれることは承知していましたが、まだ心の整理がつかない状態なので、気遣ってくださるのはありがたいことです。
「フローラちゃん、ごめんなさいね。ちょっと焦っていたようだわ。実はわたくし、とってもはらわたが煮えくり返っているのよ」
にこやかな表情で物騒な事を言い放つアンジェラ様。
これをどう受け止めたらいいのか、唖然とした表情で見つめるしかありません。レイ様も瞠目してアンジェラ様を凝視していました。
「だって、そうでしょう? 王都で貴族令嬢の誘拐未遂事件が起きたのよ。今回は未遂で終わったからよかったものの、これは見過ごすわけにはいかないわ。王太子妃の名にかけて許すわけにはいかない。二度とこんな事件が起きないように徹底的に調査をするわ」
固く誓うようにギュッと扇子を握りしめたアンジェラ様。
正義感を滾らせ義憤に燃えるアンジェラ様は美しい。思わず見惚れてしまったほど。
艶麗な美しさと凛乎とした姿に目を奪われて、不謹慎にも胸がときめいてしまったことは……レイ様には内緒です。



