婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「ビビアン様の分も頼んであげたらよかったのに」

 メイドに頼めばすぐに届けてくれるでしょう。わざわざ彼女の手を煩わせることもないのではないかしら。

「ここはセルフサービスなのだから、自分で足を運ぶことが基本でしょう。いいのよ。色々とわがままを言われても困るから。それに見てみて。楽しそうにしてるじゃない?」

 奥のカウンターへと目を向けると、料理や飲み物をあっちこっちと眺めて品定めに夢中のよう。

 ちょっとかわいらしいと思ってしまったわ。

「ところで、ディアナはビビアン様とは知り合いなの?」

「ええ。幼馴染ではないけれど、昔馴染みって所かしら。それぞれの公爵家とは元々家同士の交流があるから、小さい頃は年に何回かは会って一緒に遊んでいたわね。でも、その程度よ」